社長の挨拶

ファームロイドは次世代半導体技術の社会実装をめざす基盤技術型スタートアップです。理化学研究所と共同で開発しているFar-UVC LEDは、人がいる空間でも安心してウイルス殺菌ができる紫外線光源として各方面から注目されています。

我々はバイオエンジニアリング・テクノロジーによって医療、農業、環境分野に新産業を創出することを目的に2013年に誕生しました。バイオエンジニアリングとはバイオロジー(生物学)とエンジニアリング(工学)の融合を意味する造語です。

人類はその誕生以来、さまざまな感染症と共存してきました。今回のSARS-CoV-2の世界的感染拡大は人類への脅威だけでなく世界経済にも大きな影を落としており、感染症対策は現在および将来の人類社会に向けて全世界共通の課題といえるでしょう。

感染症対策のひとつとして紫外線殺菌があります。その歴史は19世紀末から始まり、主に皮膚病原因菌の殺菌と水の殺菌目的で発展してきました。1990年代に紫外線照射がクリプトスポリジウムに効果的だとわかると、以後、北米・ヨーロッパで普及が進み、日本でも2007年に浄水場への紫外線殺菌の適用が認められました。水処理以外にも2004年頃の鳥インフルエンザ(H5N1)や2020年のSARS-CoV-2などの感染症に対する有効な手段として、モノや空間の紫外線殺菌が大きく注目されています。特に、人集まりの多い場所には大きな可能性があり、UVC光源は環境にやさしい方法であり、安全で自由な出会いと社会的交流を可能にします。

しかし現在、殺菌用として販売されている230 nm以上発光のUVC LEDは、人体の皮膚や目にダメージを与えるため、人のいる空間では使用できません。

我々が開発している(220-230nm波長帯)Far-UVC LEDは、生体にダメージを与えることなく表面に付着したウイルスのみ殺菌できることから、人のいる空間でも使用できることが大きな利点です。そのためには工学的な技術だけでなく、医療やバイオといった技術の融合が必要になってきます。Far-UVC LEDは、社会の様々な場所で用いることのできる新たな紫外線殺菌技術として産業界から渇望されており、私たちは水俣条約2020および国連のSDGsを重要と思い、1日も早い実用化に向けて研究開発を続けていきます。

飯村一樹